STAGE 4動くと縮んで見える
ローレンツ収縮
🎯 ミッション
時間が遅れるなら距離も変わる。進行方向の長さが縮んで見える理由を直感的に理解しよう。
未達成

ねこ博士
前回話した通り、時間が遅れるなら、実は「長さ」も変わるんだ。高速で動いている物体は、進む方向に縮んで見える。うさ美とA・Bの食い違いの謎を解く、大事な手がかりだよ。

うさ美
縮むんですか!? どうしてですか?

ねこ博士
電車が2つの駅の間を走る時間を考えよう。電車の中の人から見た時間と、外の人から見た時間は、ステージ3で学んだ通り違うよね。

うさ美
はい、外にいる人からは、電車の中の時計の方がゆっくり進みます。

ねこ博士
そう。つまり電車の中の人にとって、時間が短く感じられるから、駅と駅の距離も短く感じられるはずだよね。これがローレンツ収縮だよ。実際に計算してみよう。2つの駅の間が22万5千km、電車の速さが秒速18万kmだとすると、ホームから見た所要時間は22.5万÷18万=1.25秒。

うさ美
電車の中では時間が遅れるから、1.25秒÷1.25=1.0秒ですね。ということは、電車の中の人にとっての駅間の距離は、速さ×時間=18万km/s×1.0秒=18万km……22万5千kmより短くなってます!
電車の中の人にとっては、自分は止まっていて、外の世界(地面や駅)の方が動いている。だから、駅Aと駅Bの間の距離も、電車から見ると18万kmに縮んで見える――ホームで測った本来の22万5千kmより短い

ねこ博士
その通り! ホームから見た22万5千kmが、電車に乗っている人からは18万kmに縮んで見える。時間が伸び縮みするなら、距離も伸び縮みする——ちゃんとつながっているんだ。ここからは、この「時間や距離が伸び縮みする倍率」のことを、ギリシャ文字のγ(ガンマ)という記号で表すことにするね。さっきの例なら、1.25倍のことをγ=1.25と書くんだ。
距離 = 速さ × 時間
駅間22万5千km ÷ 速さ18万km/s = ホームから見た時間1.25秒
1.25秒 ÷ γ(1.25) = 電車の中の時間1.0秒
速さ18万km/s × 1.0秒 = 電車から見た距離18万km(22万5千km÷γ)
駅間の距離から、時間の遅れを経て、電車から見た距離が求まるまでの計算の流れ
ステージ3と同じ直角三角形(3辺の比は3:4:5で正しい縮尺)。斜辺÷高さでγ=1.25が求まる。同じ角を共有し1/γ(0.8倍)に縮めた点線の三角形は、底辺18万km・斜辺30万km――この斜辺の30万kmは「光が1秒で進む距離」と同じ、光時計の高さhにぴったり一致する

ねこ博士
ちなみに、縮むのは「動く方向」だけ。横幅や高さは変わらないんだ。

うさ美
逆に外から見たら動いている物体は短く見えるんですか?

ねこ博士
そう、いいところに気づいたね! 電車の中の人から見ると外の世界が縮んで見えたのと同じように、外にいる人から見ると、動いている電車自体が縮んで見えるんだ。時間の遅れのときと同じで、これもお互い様――どちらの立場から見ても、相手の方が縮んで見える。

うさ美
だとすると、また同じような疑問が湧いてきました。例えば、全長22万5000kmのとてつもなく長い電車が、秒速18万kmで移動すると、外から見た場合、全長18万kmに見えるはずですよね?

ねこ博士
その通り! 電車自身の長さ(静止しているときの長さ)が22万5千kmなら、外から見ると22万5千km÷γ(1.25)=18万kmに縮んで見える。さっきの駅間距離のときとまったく同じ計算だよ。どんな物体でも、動いている方向の長さは、自分から見た長さ÷γに縮んで見えるんだ。

うさ美
ではその電車はその速度で動いている限り、外から見るとたとえ一瞬だとしても全長20万kmの車庫にすっぽり収まるように見えるし、逆に中から見れば、全長25万kmの車庫ですら縮んでしまって収まらないっていうおかしなことになりませんか?

ねこ博士
よくぞ気づいたね! それは「車庫のパラドックス」と呼ばれる有名な問題で、うさ美の計算はどちらも合っているんだ。外から見ると18万kmに縮んだ電車は20万kmの車庫に収まるし、電車から見ると25万kmの車庫の方が20万kmに縮んで見えて、22万5千kmの電車は収まらない。
外から見ると縮んだ電車(18万km)は20万kmの車庫に収まるが、電車から見ると、それよりはるかに長い25万kmの車庫ですら20万kmに縮んで見え、自分の電車(22万5千km)は収まらない――はみ出す部分(赤い破線)が「車庫のパラドックス」の見た目の矛盾

ねこ博士
車庫と電車、どちらを「止まっている」とみなすかによって、縮んで見える方が入れ替わるから起きることなんだ。これは、うさ美が最初に持ちかけてくれたAとBの謎と、まったく同じ種類の不思議さなんだよ。すべて「同時」という考え方の相対性で、ちゃんと辻褄が合うようになっているから、楽しみにしていてね。
確認クイズ
Q1. ローレンツ収縮で縮んで見えるのはどの方向?
正解! 横幅や高さは変わらず、進んでいる方向だけが縮んで見える。
Q2. 「距離=速さ×時間」で、速さが同じまま時間が短くなると、距離はどうなる?
正解! 速さが一定なら、時間が短くなった分だけ距離も短くなる。これがローレンツ収縮の考え方だよ。
Q3.【計算】自分で測った長さが30万kmの電車が、秒速18万km(γ=1.25)で走っている。外から見た電車の長さは?
正解! 動いている物体の長さは「自分で測った長さ÷γ」。30万km÷1.25=24万kmに縮んで見える。この電車、次のステージでも登場するよ。